株式会社ストプラが運営する、不動産の実務コラム
Real Estate Column by Stopla

現場で見てきたリアルな事例をお伝えします。

実例

表面利回り9%に惹かれて買ったら、実質利回りは4%以下だった話

2026.06.24 公開 2026.07.10 更新
COLUMN 実例 / 収益不動産・購入判断
表面利回り ・ 実質利回り ・ OPEX

表面利回り9%に惹かれて買ったら、
実質利回りは4%以下だった話

数字だけを見れば、魅力的な物件でした。
しかし「利回りが高い」と「儲かる」は、別の話です。

公開日:2026.06.17 カテゴリ:収益不動産 読了:約7分 監修:株式会社ストプラ
SUMMARY

東京23区内・満室時表面利回り9.0%という1Rマンション。数字は魅力的でしたが、蓋を開けると実質利回りは4%以下。原因は、水道光熱費の逆ザヤ・設備交換・事故対応といったOPEX(運営費)でした。表面利回りと、実際に残るお金は別物です。

「高利回り」ほど、運営で苦しむことがあります。

収益不動産を買うとき、最初に目に入るのは「利回り」です。東京23区で表面8〜9%という数字は魅力的に映ります。しかし実際の経営では、表面利回りが高いからといって手元にお金が残るとは限りません。むしろ、見た目の利回りが高い物件ほど、運営費や修繕費に苦しむことがあります。

表面利回り9%の1Rマンション

今回の事例は、東京23区内の不人気エリアにある1Rマンションです。

立地
駅徒歩17分
規模
60室
専有面積
約18㎡
築年
1991年築
平均家賃
約4.6万円
満室時 表面利回り
9.0%

オーナー様も「23区内で満室時利回り9%」に魅力を感じて購入されました。ただ、実際の正味利回りは4%を下回っていました。

表面利回り
(満室時)
9.0%
水道・電気の
逆ザヤ
修繕・設備交換
・事故対応
実質利回り
(手残り)
4%以下
※イメージ図。OPEXによって表面利回りが半分以下に削られた。

原因①:水道代・電気代の逆ザヤ

この物件では、電気代・水道代をオーナーが一括で支払い、賃借人からは定額で回収する仕組みでした。レントロール上の収入には家賃に加え「水道代回収」「電気代回収」が含まれていたのです。ところが、実際に支払う額は回収額を大きく上回り、年間で電気・水道だけで数百万円の逆ザヤ。この時点で、見かけの高利回りはかなり削られます。

原因②:重い修繕費

60室あるということは、設備も60室分あります。家賃4.6万円の部屋では、エアコン1台の交換で家賃約2か月分が飛ぶ計算です。さらに本物件は給湯に電気温水器を採用していました。

エアコン交換6畳用・1台
7〜8万円
電気温水器交換1台あたり
約40万円
交換ペース45室が竣工当時のまま/毎年3〜4件が寿命
毎年発生

電気温水器は壊れにくい反面、寿命が来ると突然漏水することもあり、そのたびに漏水対応費用まで発生します。逆ザヤ+エアコン+電気温水器+漏水対応という、OPEXが継続的にのしかかる構造でした。

「家賃が安いから下がらない」は別の話

オーナー様は「もともと家賃が低いから、これ以上下がりにくい」点に魅力を感じていました。確かに4万円台のワンルームは賃料水準だけ見れば下がりにくい側面があります。ただ、それと「儲かるかどうか」は別問題です。空室が少なくても、運営費が重すぎて家賃収入が残らない——この物件はまさにそういう構造でした。

低家賃帯には、別のリスクもある

低家賃のワンルームには、収益数字だけでは見えにくい運営リスクもあります。

  • 入居者属性が荒れやすい
  • 部屋の使い方が悪くなりやすい
  • ボヤ・火災などの事故リスク
  • 高齢単身者が一定割合で入る
  • 保証人・緊急連絡先がないことも
  • 孤独死リスクが高まる

実際、この物件では2年間で2件の火災があり、死亡事故も発生しました。こうしたリスクは購入時のレントロールには出てきませんが、運営では確実に負担となって跳ね返ってきます。

利回りは「満室時家賃 ÷ 価格」だけでは見えない

購入時はどうしてもレントロールや満室想定賃料に目が行きます。しかし本当に見るべきは、電気・水道などの回収方式、設備の種類と交換コスト、築年数と修繕履歴、入居者属性、火災や孤独死などの事故リスク、現場の管理負担——といったOPEXと運営リスクです。

レントロールに出ない「想像力」が必要

これらは購入時の資料だけでは読み切れません。だからこそ重要なのが経験と想像力です。

数字の裏側を想像する
  • この設備、壊れたらいくらかかるか
  • 60室あるなら、毎年どれくらい交換が出るか
  • 水道代の回収方式に無理はないか
  • この家賃帯・このエリア・この築年数で、どんな入居者が入るか

満室時利回りが高いかではなく、
運営して本当に利益が残るか

この記事の要点

高利回り物件は、電気・水道の逆ザヤ、設備更新費、漏水対応、入居者属性リスクなどにより、実質利回りが大きく低下することがあります。購入判断では、表面利回りではなく、OPEX・設備更新負担・入居者属性・事故リスクまで含めた実質収益性を評価すべきです。

この事例が参考になる方

  • 高利回り物件の購入を検討している
  • 築古一棟マンション・アパートの取得を考えている
  • 低家賃帯ワンルーム物件に興味がある
  • 表面利回りと実質利回りの差を知りたい
  • 2代目社長として法人で収益不動産を買おうとしている
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その利回り、運営してからも残りますか。

購入前に、OPEX・設備更新・入居者属性・事故リスクまで織り込んだ実質収益性を一緒に試算します。表面の数字に惹かれる前の、冷静な点検を。

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※本記事は実例をもとに再構成したものであり、数値は概算・イメージです。記載のリスクや費用は物件により異なります。投資判断はご自身の責任と専門家の助言のもとで行ってください。

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