利回りだけで買うと危ない。
法人で不動産を買う時に見るべき「土地建物比率」
同じ1億円の物件でも、土地と建物の内訳で
税金・キャッシュフロー・出口は大きく変わります。
法人で収益不動産を買うとき、利回り・立地・築年数・融資条件はもちろん大事です。ただ、保有していくうえで影響が大きいのが「土地と建物の比率」。土地は償却できず、建物は償却できるため、この内訳が減価償却・法人税・キャッシュフロー・売却時の利益まで左右します。
同じ1億円でも、中身の内訳で結果が変わります。
収益不動産を購入すると、会計上はその価格を土地部分と建物部分に分けて計上します。売買契約書に明確な内訳がない場合は、固定資産税評価額などを参考に按分するのが一般的です。同じ1億円でも「土地8,000万円・建物2,000万円」なのか「土地5,000万円・建物5,000万円」なのかで、その後の会計・税務・CFはかなり変わります。
土地は償却できず、建物は償却できる
土地と建物の大きな違いは、減価償却できるかどうかです。減価償却費は、実際にはお金が出ていかないのに経費に計上できます。
そのため、建物割合が大きい物件ほど、毎年の減価償却費が大きくなり、法人税の圧縮効果が出やすく、手元キャッシュを残しやすいという特徴があります。
東京の築古は土地割合が大きくなりやすい
東京都内の築古物件は土地価格が高く、比率が土地8割・建物2割になることも珍しくありません。地方は土地が相対的に安く、5:5や4:6に近づくこともあります。
では、地方の方が有利なのか
そう単純ではありません。償却の強さと、融資・出口のしやすさはトレードオフになりがちです。
- 担保評価が出やすい
- 融資が付きやすい
- 売却時の流動性が高い
- 減価償却は弱い
- 減価償却を多く取れる
- 融資が伸びにくい
- 出口で売却しづらい
- 空室・賃料下落リスク
「建物割合が高い=得」ではない。
税務・融資・出口をまとめて見る。
売却時には、償却した建物も利益になる
もう一つ重要なのが売却時です。減価償却を進めると建物の帳簿価額は年々下がります。その状態で購入時より高く売れれば、土地だけでなく建物にも帳簿上の売却益が出ます。
このため、何年保有するのか・いつ売るのか・売却時にどの程度利益が出るのか・法人の利益状況とぶつからないかまで含めて考える必要があります。
どんな法人に、どんな不動産が合うか
今期利益が大きく、節税を重視したい法人
→ 建物割合が大きく、減価償却を取りやすい物件が合う可能性。
融資を伸ばし資産を積み上げたい法人
→ 東京の土地値が強い物件の方が、金融機関との相性が良いことも。
近い将来の売却も視野に入れる法人
→ 保有中の償却だけでなく、売却時の税負担まで見ておく必要。
本業の資金繰りを安定させたい法人
→ 毎年のCF・返済比率・減価償却費のバランスを重視。
利回りだけでなく、土地建物比率まで見る
表面利回りやエリアだけで判断すると、「思ったより税金が減らない」「売る時に税金が重い」「融資は出るがキャッシュが残らない」が起きます。不動産は、買った瞬間よりも保有してからの方が長い資産です。どれだけ償却できるか・どれだけ融資が付きやすいか・将来売る時にどうなるかまで見ておくことで、購入判断の精度は大きく変わります。
土地建物比率は、保有中の減価償却費・法人税・キャッシュフロー・売却時の簿価益に大きく影響します。建物割合が大きい物件は保有中の節税効果が高い一方、土地割合が高い物件は融資・担保評価・流動性に優れる場合があります。物件選定は利回りだけでなく、土地建物比率・保有期間・売却時の税負担まで含めて判断すべきです。
この記事が参考になる方
- 法人で収益不動産を購入しようとしている
- 2代目社長で、会社の資産運用を任された
- 節税だけでなく、融資や出口も含めて検討したい
- 東京物件と地方物件、どちらを買うべきか迷っている
利回りの先まで、いっしょに見る。
土地建物比率・減価償却・融資・出口を一体で試算し、御社の利益状況に合う物件選びを支援します。購入前の比較検討こそ、判断の精度を高めます。
不動産購入の相談をする※本記事は一般的な会計・税務の考え方を解説したものであり、個別の税務判断ではありません。土地建物の按分や減価償却、売却時の課税は要件により異なります。実際の判断は税理士など専門家にご相談ください。