株式会社ストプラが運営する、不動産の実務コラム
Real Estate Column by Stopla

現場で見てきたリアルな事例をお伝えします。

賃貸募集には「決まりやすい時期」がある。

2026.07.21 公開
COLUMN 実例 / リーシング・募集戦略
募集時期 繁忙期・閑散期 賃料設定

賃貸募集には「決まりやすい時期」がある。
東京のリーシングで感じる月内アノマリー

同じ物件でも、募集する時期によって反響は変わります。年間の繁閑だけでなく、月の中にも波があります。

公開日:2026.06.17 カテゴリ:リーシング 読了:約7分 監修:株式会社ストプラ
SUMMARY

東京都内で賃貸募集を長く見ていると、申込みが入りやすい時期には一定の傾向があります。1〜3月の繁忙期といった年間の動きに加え、月初は動きやすく・中旬は落ち・下旬から再び動くという月内の波も存在します。これは解約日と入居日のサイクルによるもの。時期を読むこと自体が、資産価値の一部です。

同じ物件でも、いつ募集するかで反響は変わります。

東京都内で賃貸管理や入居者募集を長く行っていると、申込みが入りやすい時期には、ある程度明確な傾向があると感じます。まず、一般的に知られている年間の繁閑があります。

動きやすい(繁忙)

1月2月3月9月前後
進学・就職・転勤シーズン。借り手が増える。

動きにくい(閑散)

5月8月12月
連休や年末で動きが鈍くなりやすい。

ただ、実際に募集状況を細かく見ていると、年間の繁閑だけではありません。同じ月の中でも波があると感じます。

反響 月初 中旬 下旬〜月末
月初に動き、中旬で落ち、下旬から再び動く。月内にも反響の波がある。

月内の動きは、解約日と入居日で決まる

なぜ月初や月末に動きやすく、中旬は動きにくいのか。主に賃貸借契約の解約日と入居日のサイクルが関係していると考えています。賃貸借契約では、月末を退去日とするケースが多くあります。解約通知が出ると管理会社は次の募集を始めますが、開始のタイミングは会社によって異なります。

A解約通知を受けた段階で募集する会社
B退去して室内を確認してから募集する会社
Cクリーニング・原状回復が終わってから募集する会社

この結果、月末に退去した物件の募集情報が、月初から順次市場へ出てくることになります。借り手から見ると、月初は新着物件が増え、選択肢が多くなる時期。月末入居を目指して探し始める方も多く、月初の土日に内見や申込みが集中しやすくなります。

月内の3つのフェーズ

月初:動く
新着物件が増え、検索意欲が高い。仲介も新着を積極紹介。最初/2回目の土日に申込みが入りやすい。
中旬:鈍る
月初組は決定済み、翌月入居組はまだ。母数が一時的に減る。反響がなくても値下げは早い場合が。
下旬〜月末:再び動く
翌月引っ越し組が動き出す。解約期限・異動通知・更新期限がきっかけに。止まっていた物件も動く。

特に募集開始直後の物件で、賃料や条件が市場に合っていれば、掲載から数日で内見・申込みまで進むことがあります。この初速は非常に重要です。月初の良いタイミングで募集できたのに反響がない場合は、募集条件に問題がある可能性を疑います。逆に中旬の停滞だけを見て条件を下げると、本来得られたはずの賃料を失うことがあります。

大型連休の直後は、新着物件が増える

ゴールデンウィーク・お盆・年末年始などの大型連休も市場に影響します。連休中は仲介・管理会社が休業することが多い一方、解約通知は届き続けます。連休明けにまとめて処理・公開されるため、連休直後は新着物件が増えます。借り手には選択肢が増えるタイミングですが、オーナーには競合が一気に増えるタイミングでもあります。

1月は「何週目に出すか」が重要

1〜3月は繁忙期ですが、1月ならいつでも同じように動くわけではありません。年によっては1月最初の土日まで仲介会社が年末年始休業中で、実際に市場が動くのは2週目からということもあります。オーナー側は、この時期に募集準備が終わっているかどうかで繁忙期の成果が変わります。繁忙期に入ってから原状回復を始めるのではなく、先回りが重要です。

退去前の募集準備
工事内容の事前決定
写真撮影の手配
賃料査定
募集図面の作成
入居可能日の明確化

繁忙期だから高く決まるとは限らない

繁忙期は借り手が増えますが、同時に募集物件も増えます。「繁忙期だから強気の賃料でも決まる」とは限りません。重要なのは、借り手の選択肢である「考慮集合」の中に入ること。同じエリア・間取り・家賃帯の中で、写真・賃料・初期費用・入居可能日・設備・内見のしやすさが比較されます。繁忙期は、条件が合う物件は早く決まり、合わない物件は競合に埋もれるという差も出やすくなります。

閑散期には、条件設計を変える

5月・8月・12月などは動きが鈍くなりやすい月です。繁忙期と同じ募集方法を続けても、同じ成果が出るとは限りません。ただし、最初から家賃を下げるとは限りません。

ADを設定する写真を撮り直す図面の訴求を変える初期費用を調整内見方法を簡素化入居可能日を明確化

家賃を下げる前に、紹介されていない理由・内見されていない理由・申込みに至らない理由を分解します。

募集条件は、カレンダーと数字を見て調整する

賃貸募集は、WEBへ掲載して待つ仕事ではありません。私たちは次を確認しながら、募集条件が市場に合っているかを検証します。

掲載した日曜日月内の時期閲覧数図面DL数問い合わせ数内見数申込数周辺の新着物件数

同じ「反響ゼロ」でも、繁忙期の月初にゼロなのか、閑散期の中旬にゼロなのかで意味が違います。数字は、時期と組み合わせて初めて判断材料になります。

募集する時期も、資産価値の一部

月額家賃が1,000円違えば、年間で1万2,000円。一棟で複数戸の賃料が変われば、NOIや売却価格にも影響します。一方、条件にこだわりすぎて空室期間が1か月延びれば、その損失の方が大きくなることもあります。だからこそいつ募集するか・いつまで強気でいくか・いつ条件を変えるかを精緻に考える必要があります。

賃貸市場に完全な法則はない。
それでも、数字を追えば傾向は見えてくる。

この記事の要点

賃貸募集の反響は、賃料や物件条件だけでなく、年間の繁閑・月内の時期・曜日・大型連休の影響を受けます。反響が少ないときは、市場全体の停滞なのか、その物件固有の条件不一致なのかを区別することが重要です。募集開始日・閲覧数・図面DL数・内見数・申込数を時系列で分析し、値下げ・AD・写真変更などを適切なタイミングで実施します。

この事例が参考になる方

  • 東京で賃貸物件を保有している方
  • 空室募集の開始時期に悩んでいる方
  • 繁忙期に間に合わせたいオーナー様
  • 反響がないため賃料を下げるか迷っている方
  • 管理会社のリーシング方法を見直したい方
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年間の繁閑・月内の波・数字の推移を踏まえ、募集開始のタイミングと条件調整を一緒に設計します。繁忙期に向けた準備は、早いほど成果につながります。

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※本記事は当社の経験にもとづく傾向を述べたものであり、成果を保証するものではありません。市場動向はエリア・時期・物件により異なります。

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