表面利回り9%に惹かれて買ったら、
実質利回りは4%以下だった話
数字だけを見れば、魅力的な物件でした。しかし「利回りが高い」と「儲かる」は、別の話です。
東京23区内・満室時表面利回り9.0%という1Rマンション。数字は魅力的でしたが、蓋を開けると実質利回りは4%以下。原因は、水道光熱費の逆ザヤ・設備交換・事故対応といったOPEX(運営費)でした。表面利回りと、実際に残るお金は別物です。
「高利回り」ほど、運営で苦しむことがあります。
収益不動産を買うとき、最初に目に入るのは「利回り」です。東京23区で表面8〜9%という数字は魅力的に映ります。しかし実際の経営では、表面利回りが高いからといって手元にお金が残るとは限りません。むしろ、見た目の利回りが高い物件ほど、運営費や修繕費に苦しむことがあります。
表面利回り9%の1Rマンション
今回の事例は、東京23区内の不人気エリアにある1Rマンションです。
オーナー様も「23区内で満室時利回り9%」に魅力を感じて購入されました。ただ、実際の正味利回りは4%を下回っていました。
原因①:水道代・電気代の逆ザヤ
この物件では、電気代・水道代をオーナーが一括で支払い、賃借人からは定額で回収する仕組みでした。レントロール上の収入には家賃に加え「水道代回収」「電気代回収」が含まれていたのです。ところが、実際に支払う額は回収額を大きく上回り、年間で電気・水道だけで数百万円の逆ザヤ。この時点で、見かけの高利回りはかなり削られます。
原因②:重い修繕費
60室あるということは、設備も60室分あります。家賃4.6万円の部屋では、エアコン1台の交換で家賃約2か月分が飛ぶ計算です。さらに本物件は給湯に電気温水器を採用していました。
| 設備 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| エアコン交換 | 6畳用・1台 | 7〜8万円 |
| 電気温水器交換 | 1台あたり | 約40万円 |
| 交換ペース | 45室が竣工当時のまま/毎年3〜4件が寿命 | 毎年発生 |
電気温水器は壊れにくい反面、寿命が来ると突然漏水することもあり、そのたびに漏水対応費用まで発生します。逆ザヤ+エアコン+電気温水器+漏水対応という、OPEXが継続的にのしかかる構造でした。
「家賃が安いから下がらない」は別の話
オーナー様は「もともと家賃が低いから、これ以上下がりにくい」点に魅力を感じていました。確かに4万円台のワンルームは賃料水準だけ見れば下がりにくい側面があります。ただ、それと「儲かるかどうか」は別問題です。空室が少なくても、運営費が重すぎて家賃収入が残らない——この物件はまさにそういう構造でした。
低家賃帯には、別のリスクもある
低家賃のワンルームには、収益数字だけでは見えにくい運営リスクもあります。
実際、この物件では2年間で2件の火災があり、死亡事故も発生しました。こうしたリスクは購入時のレントロールには出てきませんが、運営では確実に負担となって跳ね返ってきます。
利回りは「満室時家賃 ÷ 価格」だけでは見えない
購入時はどうしてもレントロールや満室想定賃料に目が行きます。しかし本当に見るべきは、電気・水道などの回収方式、設備の種類と交換コスト、築年数と修繕履歴、入居者属性、火災や孤独死などの事故リスク、現場の管理負担——といったOPEXと運営リスクです。
レントロールに出ない「想像力」が必要
これらは購入時の資料だけでは読み切れません。だからこそ重要なのが経験と想像力です。
満室時利回りが高いかではなく、
運営して本当に利益が残るか。
高利回り物件は、電気・水道の逆ザヤ、設備更新費、漏水対応、入居者属性リスクなどにより、実質利回りが大きく低下することがあります。購入判断では、表面利回りではなく、OPEX・設備更新負担・入居者属性・事故リスクまで含めた実質収益性を評価すべきです。
この事例が参考になる方
- 高利回り物件の購入を検討している
- 築古一棟マンション・アパートの取得を考えている
- 低家賃帯ワンルーム物件に興味がある
- 表面利回りと実質利回りの差を知りたい
- 2代目社長として法人で収益不動産を買おうとしている
その利回り、運営してからも残りますか。
購入前に、OPEX・設備更新・入居者属性・事故リスクまで織り込んだ実質収益性を一緒に試算します。表面の数字に惹かれる前の、冷静な点検を。
購入前の収益チェックを相談する※本記事は実例をもとに再構成したものであり、数値は概算・イメージです。記載のリスクや費用は物件により異なります。投資判断はご自身の責任と専門家の助言のもとで行ってください。



