保有最適化

賃貸募集で広告料を払う意味

2026年6月24日

COLUMN 考察 / リーシング・募集戦略
AD ・ 広告料 ・ 空室対策

ADは無駄なコストなのか。
賃貸募集で広告料を払う意味

「仲介手数料を払うのに、なぜさらにお金がかかるのか」。
ADは”払うか”ではなく、”どう使うか”の話です。

公開日:2026.06.17 カテゴリ:リーシング 読了:約7分 監修:株式会社ストプラ
SUMMARY

「ADをつけましょう」と提案され、余計な支出に感じるオーナー様は少なくありません。しかしADは単なるコストではなく、仲介会社への紹介インセンティブ。使い方しだいで内見数を増やし、家賃を下げずに決めることにつながります。大切なのは「払うか」ではなく「目的にどう使うか」です。

「仲介手数料を払うのに、さらに広告料?」

賃貸経営をしていると「ADをつけた方がいい」「広告料を1か月分つけましょう」と提案されることがあります。仲介手数料を払うのにさらに——と感じるのは当然です。今回は、賃貸募集におけるAD(広告料・広告宣伝費)を、オーナー目線で整理します。

ADとは何か

AD(広告料・広告宣伝費)

リーシング時にオーナーが不動産会社へ支払う費用。実態は仲介会社への募集インセンティブに近い性質を持ちます。仲介手数料は宅建業法上、貸主・借主双方からの受領上限に制約があるため、実務では別枠で「広告料」として設定されることがあります。

表現はさまざまで、「AD1か月」「AD2か月」「家賃の○%」などの形で示されます。

ADをつけると、何が変わるのか

結論から言うと、ADをつけると「紹介されやすくなる」可能性があります。仲介会社の収益源は基本的に仲介手数料。同じ条件で並んだとき、ADが付いた物件を優先して紹介したくなるのは自然なことです。

ADなしの物件
紹介順位が落ちることも
仲介の収益は借主からの手数料のみ
AD1か月の物件
優先的に紹介されやすい
手数料+ADで仲介の収益が増える

もちろん全社がそうではありません。ただ現実として、ADが付いていない物件は紹介順位が落ちることは起こり得ます。

ADの本当の役割は「家賃を守ること」

重要なのは「ADを払うか」ではなく、払うことで結果として家賃を守れるかです。紹介する仲介会社が増えれば、内見が増え、申込みの母数が増え、家賃を下げずに決まる可能性が高まります。

家賃10万円の物件で比べると(どちらが得か
AD1か月を払う
−10万円
一時的な支出。家賃は維持
vs
家賃を5,000円下げる
−12万円
5,000円 × 24か月(2年)の減収
一時的にADを払ってでも家賃を維持できた方が、結果的に得になることがある。

借主にもメリットになることがある

ADはオーナーが業者へ払う費用ですが、結果的に借主のメリットになることもあります。ADがしっかり付いた物件では、仲介会社が「借主から仲介手数料を取らなくてもよい」と判断することがあり、その場合は借主の初期費用が下がります。「仲介手数料無料」「初期費用が安い」となれば、家賃が多少高くても借りやすく感じる方もいます。つまりADは、見方を変えると借主の初期費用を下げる原資として機能することもあります。

売却を見据えるなら、ADが有効なことも

将来売却まで考えているなら、ADはさらに意味を持ちます。収益不動産の価格は賃料に大きく左右されるため、家賃が高く決まれば収益還元上の価格も高くなりやすい。つまりADを使ってでも高い家賃で決めることが、売却価格の維持につながることがあります。短期的にはコストでも、長期的には出口戦略の一部になり得ます。

「フリーレントではダメなのか」

ADとよく比較されるのがフリーレントです。「業者に払うくらいなら借主に1か月サービスした方が」という考え方ですね。有効な場面もありますが、注意点もあります。引っ越しには敷金・礼金・前家賃・火災保険・保証料・鍵交換などで、安くても家賃4.5か月分、高ければ7か月分程度の初期費用がかかります。

AD
  • 仲介会社への紹介インセンティブ
  • 紹介数が増え、家賃を守りやすい
  • 売却時の賃料維持にも効く
集まりやすい層:通常の初期費用を用意できる入居者
フリーレント
  • 借主への直接的な還元
  • 初期費用の負担を軽くする
  • 「あるから借りる」層も集まりやすい
注意点:滞納・使い方・退去トラブルの可能性も

全員がそうではありませんが、ADとフリーレントは同じ募集コストでも集まる入居者層が少し変わる可能性がある、という視点は持っておいた方が良いと思います。

仲介会社の立場も知っておく

賛否はあると思いますが、私は賃貸仲介会社の利益は想像以上に薄いと感じています。家賃7〜8万円帯では、問い合わせ対応・日程調整・内見案内・申込対応・契約調整まで行って一度で決まらなければ、利益はかなり薄くなります。借主から満額の手数料を取れないケースも増えています。そうした中でADは、仲介会社が「どの物件を優先して動くか」を左右する要素です。単なる余計な支出ではなく、募集戦略の一部として考えた方が判断しやすいかもしれません。

ADは「払うか」ではなく「どう使うか」

ADは、つければ必ず決まる魔法の費用ではありません。ただ、目的によって意味が変わります。

空室期間を短くしたいADが有効
家賃は下げたくないADが有効
繁忙期を逃したくないADが有効
売却前に高い賃料を付けたいADが有効
長期保有で入居者属性を慎重に見たいFR・賃料調整も

ADを払うことが目的ではない。
目的に対して、どう使うか

この記事の要点

ADは単なる募集コストではなく、仲介会社への紹介インセンティブとして機能し、内見数の増加や家賃維持に寄与する場合があります。一方フリーレントは借主への直接還元ですが、入居者属性や滞納リスクに影響する可能性もあります。募集条件の設計は、空室期間・賃料維持・売却予定・入居者属性などオーナーの目的に応じて判断すべきです。

この記事が参考になる方

  • 空室が長引いているオーナー様
  • 家賃を下げずに決めたい方
  • ADを付けるべきか悩んでいる方
  • フリーレントとの使い分けを知りたい方
  • 売却も見据えて賃貸募集を考えている方
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※本記事は当社の考え方を整理したものであり、効果を保証するものではありません。広告料の設定や宅建業法上の取り扱いは状況により異なります。具体的な募集条件は専門家にご相談ください。

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