給水管が共有だった話。
見えないインフラが資産価値を下げることもある
築浅で、外観も室内もきれいな物件でした。
それでも「築浅だから安心」とは限りません。
不動産売買では、築年数や利回りだけでなく目に見えないインフラの調査も重要です。今回は築浅・良好な物件で、給水管が隣地を通り共有になっていた事例。修繕時の掘削・費用負担といった将来リスクが、買主や金融機関の評価に影響し、市場のキャップレートより低い価格でしか売れませんでした。
不動産会社が調べているのは、建物だけではありません。
不動産売買では、建物の築年数や利回りだけでなく、目に見えないインフラを調査することも非常に重要です。今回は、収益不動産の売買仲介で経験した「給水管の共有」という事例をご紹介します。
築10年程度の、きれいな物件だった
東京都北区にある収益不動産の売却案件でした。接道は2m。細長い敷地が続く、いわゆる敷地延長(旗竿地に近い形状)の物件です。
建物は2014年築。築年数も浅く、外観・室内とも状態は良好でした。そのため当初は、特に売却に苦労する物件ではないと考えていました。
調査で分かった「給水管の共有」
売却にあたり調査を進める中で、思わぬ問題が見つかりました。建物へ引き込まれている給水管が、隣地所有者と共有になっていたのです。さらに、その給水管は隣地の敷地内を通り、そこから本物件へ引き込まれていました。自分の土地だけでは完結していない給水設備だったのです。
なぜ、こんな配管になったのか
なぜ2014年に建て替えた建物で、このような配管計画になったのか。正確な経緯は分かりません。ただ現地の状況から推測すると、長く続く私道には多くの所有者がおり、新たに給水管を引き直すための掘削承諾を全員から取得することが難しかったのではないかと思われます。その結果、既存の給水設備を利用する方法を選択した可能性があります。当時としては合理的な判断だったのかもしれません。
共有管は、将来のトラブルにつながる
問題は、給水管に不具合が起きた時です。漏水や破損が発生した場合、修繕のために隣地を掘削する必要が出てくる可能性があります。すると、様々な問題が発生します。
共有に関する契約書や覚書が整備されていれば対応しやすいケースもあります。しかし古い住宅地では、口約束だけで何十年も利用されているケースも少なくありません。
金融機関も慎重になる
こうした問題は、買主だけでなく金融機関も気にします。収益不動産は将来安定して運営できることが重要です。インフラに不安がある物件は将来的なリスクとして評価されるため、融資条件に影響する可能性もあります。
結果として、市場価格より低い評価に
本物件は、建物自体にはほとんど問題がありませんでした。しかし給水管の共有というリスクがあったことで、市場で期待される利回りでは評価されず、市場のキャップレートよりも低い価格でしか売却できませんでした。
相応の価格
価格でしか売れず
不動産は、建物だけではない
一般の方は、建物や室内設備に目が行きがちです。しかし不動産会社が調査しているのは、建物だけではありません。普段目に見えない部分も、資産価値を大きく左右します。
だからこそ収益不動産では、「築浅だから安心」とは必ずしも言えません。
築浅だから安心ではない。
見えないインフラまで、価値を左右する。
AI不動産戦略会議でも、評価項目に
今回開発している「AI不動産戦略会議」でも、インフラに関する項目は重要な診断ポイントとして組み込みたいと考えています。次のような点を評価し、収益性だけでは見えないリスクを可視化できるサービスを目指しています。
建物が築浅で状態が良好でも、給水管・排水管などのインフラに共有や他人地通過といった権利関係の問題があると、修繕時の費用負担や工事承諾など将来リスクが生じます。こうしたインフラリスクは買主や金融機関の評価にも影響し、市場の期待利回りより低い価格でしか売れない要因になります。不動産調査では建物だけでなく、ライフラインの権利関係まで確認することが重要です。
この事例が参考になる方
- 収益不動産の購入を検討している方
- 私道に接する物件を保有している方
- 築浅物件の購入を考えている方
- 売却前にリスクを整理したいオーナー
- インフラ調査の重要性を知りたい方
築浅の裏の、見えないリスクまで。
給水・排水・ガス・私道・掘削承諾・境界まで、目に見えないインフラの権利関係を調査し、購入前・売却前のリスクを一緒に整理します。
インフラ調査の相談をする※本記事は実例をもとに再構成したものであり、内容は例示です。給水管の共有・私道・掘削承諾・時効等の取り扱いは個別事情により異なります。実際の調査・対応は専門家にご相談ください。